星びと1のうら「星座の立体模型」

オリオン座(四つの星に囲まれた真ん中に三つ星が横に並んだ星座)の三つ星、本当に並んでいるのでしょうか?

夜空に浮かぶ星々(恒星)が天球(地球を取り囲む球体の壁)に張り付いていると考えたのは、2世紀ごろのプトレオマイオス。それは間違いだと少なくとも大人なら知っているとは思います。ところが、いくら夜空に目を凝らしても、星の並びに奥行きがあるようには見えません。ですから子供たちが、隣り合って見える星々はやはり本当に隣り合っている、とイメージするのも無理のない話です。

そんな平らに見えてしまう夜空を、星座を立体的に「横から」見たい。そこでラッコラでは、星座の立体模型を作ろうと考えました。

以前、既存の教材も調べたのですが、その多くは、地球と星の距離に注目して、それを一定の比率で星座の形に配置した星(の模型)の奥行きに反映させたものでした。それだけでは横から見ることはできません。

横からも見られる、ラッコラの星座の立体模型の作り方はこうです。地球だけではなく天球も表示できるGoogle Earthを使って、適当な星座を選んで表示させます。天球モードでは、地球の緯度と経度とおなじように、赤緯と赤経が表示されます。選んだ星座が赤緯と赤経のどの範囲になるのかが分かれば、見かけの角度(視角)もわかります。

地球を視点として、星座を構成する恒星の見かけの角度の場所に補助線を引き、その補助線上に、別に調べておいた地球からその恒星までの距離を一定の縮尺に縮めて点を打つと、そこが模型の中での恒星の位置になります。こうやって、一つ一つ位置を求めていくと模型は完成です。

というわけでいくつかの星座の模型を作ったのですが、既存の教材に似たようなものを見つけられなかった理由が、作ってみてわかりました。

同じ星座を構成している恒星であっても、地球からの距離はまるで違います。ごく近くの星があれば、はるか遠くの星もあります。まるで違うのですが、それらの星を一度に見ることで星座の形を認識しているわけです。この一度に見るというのがポイントでした。

星の配置を模型にしても一度に見る必要があるというのは同じです。地球から近くの星(の模型)がたとえば、目から5cmのところにあり、遠くの星が30cmのところにあったとします。星座の形を認識するにはそれらを一度に見る必要があります。ところが、人間の目はどちらか片方ずつにしかピントが合いません。よって、星の配置を縮尺きめて正しく模型にすると、その模型を使って星座の形を見るのは、なかなか難しいということが分かったのでした。

とはいえ、いくつかの星座は、構成する恒星が比較的同じくらいの距離の場所に集まっているため、模型にしても星座の形を確認することができました。オリオン座もその一つです。また、スマートフォンのカメラにごく簡単な細工をすると、ぼんやりとですが撮影することもできました。

これで星座を横から見ることができるようになったわけです。横から見るとまるでバラバラに並んでいる星々が、地球という一点から見ることで、星座になっていることが分かりました。

さて、オリオン座の三つの星、本当に三つ星と言えるくらい近くに並んでいるのでしょうか?

(2019-05-17 柳田拓人)