地球がいくつかのプレートでできていることは知っていました。じゃあ、それを剥がしたり、反対に組み合わせたり、自分の手でしてみたいと思いませんか?
どこかのタイミングで、学校で習うような話ではありますが、それを手に触って体験したいという理由から作ったのが、星びとコースの第2回で使った、「パンゲア・パズル」と、「プレート模型」です(使っている様子はレポートをご覧ください)。
「パンゲア・パズル」は、紙でできたパンゲア大陸を現在の大陸に切り分けて、今の位置に合わせて並べるというものです。一つの大きな大陸が「分かれる」というところを、紙を手で切り「分ける」という動作と対比させることで、地球になった気分になろう、というコンセプトで作りました。このパズルは、去年からそれほど変更していません。
一方、「プレート模型」は、プレートを剥がせるようにした地球の模型です。こちらは、今回、新しく作り直しました。昨年まで使っていたのは球体だったのですが、新しいものは正20面体にしました。
今までの模型には問題がありました。これは、100均で買ってきたゴムボールに、糊でぺたぺたと紙を貼り、そこに大陸の形とプレートの境界をペンで(!)書いた後で、各プレートにカッターナイフで(!)切り分けて作ったものです。作る大変さはさておき、実際にラッコラで使ってみると、球面のボールに球面のプレートを貼り付けるのは難しく、球面のため手書きで書かざるを得ないため、教材としての情報を入れづらかったのです。
そこで今回は地球を正20面体とし、そこに、正20面体を切り分けたプレートをかぶせる方式にしました。正20面体は正三角形を20個組み合わせた形ですから、展開図にできます。展開図にできるならパソコンでデータを作成し、紙に印刷、ペーパークラフトの要領で組み立てるということができます。パソコンでデータを作れるなら、NASAが公開しているデータも使えるはずです。
ところが、ここで問題となったのは、正20面体の展開図(となった地球儀)をどうやって用意するかです。
最初は、どこかにデータがあるのではと思ったのですが、いくら探しても適当なものは見つかりませんでした。それに、地球儀のデータがあったとしても、プレート境界のデータまであるとは思えませんから、本当に必要なのは、公開されている科学的なデータから、展開図を作成する方法でした(ちなみに、地図データから展開図を作ってくれる市販のソフトウェアはあったのですが、値段的に……)。
と、ここからも紆余曲折があったのですが、最終的に、正距円筒図法による世界地図ならば、正20面体の展開図に重ね合わせ、画像処理的に加工することによって(フォトショップとイラストレーターを駆使することで)、近似的にではありますが、正20面体の展開図に貼り付けることができる、ということがわかりました。
というわけで無事に第2回に間に合ったのが、正20面体の白地図(地球儀)と、それに貼り付ける10枚のプレートです(実際のプレートの枚数はさらに多いのですが、パズルのピースとして、いくつかをまとめています)。貼っても剥がせる両面テープで白地図にプレートを貼り付けられるようにして完成です。
さて、実際にラッコラで使うときは、あらかじめ白地図にプレートを貼り付けた状態にしておき、それを参加者に剥がしてもらうようにしました。しかしながら、どうも剥がしづらいようです。大きなプレート(太平洋など)になると、プレートのピース自体が立体的になるため、ぺろぺろぺろとめくるよう剥がすわけにはいかないのです。これは改良が必要です。
ラッコラでは、プログラミング編で使っているアプリケーションやプログラムはもちろんのこと、サイエンス編で使っている教材の多くもオリジナルです。そして、毎年使ってみては少しずつどこかしら改良し続けているのです。